個人的に、無生物主語を用いた英文は訳しづらいので、このタイトルは率直な意見です。
米国年金基金に関するロイター記事を勉強した際に、悩んだ表現について考えてみようと思います。
まずは英文の和訳
“Weeks of asset price volatility may have pushed some fund managers to postpone rebalancing portfolios where equity allocations have been knocked out of whack by a sharp decline in stocks, the bank said in a note to investors.”(ロイター記事参考:「U.S. pension funds may pour $400 billion into stocks, lifting virus-hit markets: JP Morgan」)
「銀行が投資家に宛てたメモによると、数週間にわたる資産の価格変動により、資産運用会社の一部は、株式の急激な下落によって株式配分が正常に機能していないポートフォリオのリバランスを先延ばしせざるを得なかったと示した」
と訳しています。
これは無生物主語の文章なので、「実際の意味上の主語はどこかを見つけること」という翻訳の先生からのアドバイスをもとに、どこが意味上の主語になるかを考えました。
文章を詳しく見ていくと、次のように分けてみることができます。
・「Weeks of asset price volatility=数週間にわたる資産の価格変動」が、原因となり
・「some fund managers =資産運用会社(ファンドマネージャー)の一部」は、「ポートフォリオのリバランスを延期・先延ばし(postpone)するように強制される(push)場合がある」と訳出できる
このように解釈すると、「some fund managers (to postpone rebalancing portfolio)」が、意味上の主語となります。
「ポートフォリオのリバランスを先延ばしするもの」としては、後続の「where」から状況説明が入っています。
「push」と「postpone」との使い方
「push」には、以下の意味合いがあります。
・人に無理強いする、人に強要する、強いて~させる
「postpone」には、以下の意味合いがあります。
・延期する、延ばす、先送りに(先延ばし)する、後回しにする
ここの「push」のニュアンスは、「嫌々そうなった」、「どうしてもそうせざるを得なかった」ような感じが含まれているように思います。
「to postpone=延期する」ように「may have pushed=強制された可能性がある」という直訳から、「A may have pushed B to postpone C」を「Aによって、BはCを先送りにした可能性がある=先送りを強制された=先送りせざるを得なかった」としました。
まとめ
文章をぱっとみただけで、「ここが無生物主語の意味上の主語だ!」とすぐに導き出せないのがいつも恨めしいところです。
「There is/are」文章であればすぐに、「これは無生物主語ですね」ってわかります。
ですが、この例文みたいに、途中で「may」構文で「where」が入ったりなど盛りだくさんになると一瞬頭が考えることを拒否してしまいます(笑)。
文章や用語の間にスラッシュ「/」を引いて、一つひとつを訳しやすい用語や単語で分けて、分解しながら訳を作っていくと、構造が分かりやすくなるのかなと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
コメント